外伝 スオウ・カグツチ編
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戦神四十七柱の頭領カタバにまつわる不穏な噂を耳にしたスオウとセイ。 | ||
その真偽を確かめるべく、彼らは下界へと赴いていた。 | ||
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![]() | ここか……戦が長引いてるっていう場所は。 | |
そうみたいだな。場の気が濁りきっている。戦局が泥沼化していると見て間違いない。 | ![]() | |
![]() | ……カタバが下界で大きな戦乱を起こそうとしている、か。それが本当ならシャレになんねぇな。 | |
ああ。だがありえない話じゃない。奴は戦に喜びを見出す戦神……常に乱世を望んでいる。 | ![]() | |
![]() | ちっ……戦をするのはあくまで下界の人間たちでオレたちの役目じゃねーだろうが。 | |
![]() | ……まぁいいさ、この目で確かめりゃいいことだ。野郎が本当に戦の元凶なら、オレは……。 | |
……カタバに刃を向けるのか、スオウ。俺たち戦神四十七柱の頭領である奴に。 | ![]() | |
![]() | ……そうならないことを祈るさ。 | |
スオウとセイは、激戦が繰り広げられる戦場の前線へと辿り着く。 | ||
両軍とも互角にぶつかり合い、拮抗する戦局。それは戦場であれば目にする、ありふれた光景だ。 | ||
しかし、彼らの目には、下界の人間たちには見えない、別のモノが映っていた。 | ||
![]() | なんなんだ……この血みてぇにドス赤い気はよ! | |
見渡す限りの〈赤〉。血の霧に酷似した気が、戦場全体を覆い尽くしている。 | ||
……間違いない、カタバだ。あの赤い気は、奴の妖刀に宿るそれと同じだ。 | ![]() | |
カタバの神力が兵士たちを狂気に落とし、暗に戦を激化させている……! | ![]() | |
![]() | くそっ! カタバの野郎……! | |
そう言ってスオウは、合戦の只中に突っ込もうとした! | ||
おい、スオウ! 何をする気だ! | ![]() | |
![]() | この合戦を一刻も早く終わらせる! 兵士たちを正気に戻して、さっさと撤退させるんだ! | |
待て! そんなことをすれば、カタバが黙ってないぞ! 四十七柱の座も追われてもいいのか!? | ![]() | |
![]() | 知ったことか! 戦を収めずして何が戦神だ! お前はここに残ってろ、セイ! | |
セイの制止も聞かず、戦の渦中に飛び込むスオウ。 | ||
……まったく、世話の焼ける男だ。少しは先のことも考えて行動しろ! | ![]() | |
口では異を唱えながらも、セイもまたスオウのあとに続いて戦場に突っ込む。 | ||
膠着した戦況を打開し、戦を終わらせるべく、二柱の戦神が戦場を駆け走る──! | ||
(戦闘終了後) | ||
辛うじて目先の戦を収め、犠牲者を最小限に抑えたことを安堵するスオウとセイ。 | ||
……これで俺たちも野良神の仲間入りだな。 | ![]() | |
![]() | いいじゃねえか、あの戦狂いが頭の四十七柱なんざこっちから願い下げだ。 | |
違うぞ、スオウ。今この時から〈四十五柱〉だ。 | ![]() | |
![]() | へっ、そりゃそうだ……って、なんでお前まで! 残ってろって言っただろうが! | |
……元より俺も抜けるつもりだったしな。こうなったらとことんお前に付き合うさ。 | ![]() | |
![]() | セイ……ははっ! お前ならそう言ってくれると思ったぜ! ありがとうな! | |
調子のいいやつだ……で、これからどうする? | ![]() | |
![]() | え? あ、うーん……カタバが噛んでる戦を片っ端から止めに行くか? | |
お前な……そんなことをしてたらキリがないだろう。 | ![]() | |
セイは大げさに肩をすくめ、スオウに言った。 | ||
カタバは次の「喧嘩神輿とうなめんと」に出る。おそらく戦にまつわる願いを叶えるためだ。 | ![]() | |
![]() | なるほどな。野郎のことだ、戦のなくならない世界を望むとか、きっとロクなもんじゃないだろ。 | |
……いや、カタバがとうなめんとに出てまで叶えようとしていることだ。 | ![]() | |
奴自ら下界で戦をする、くらいの大それたことを望んでもおかしくないだろう。 | ![]() | |
![]() | ったく、優勝すればなんでも願いが叶えられるってのも考えものだな……。 | |
それで、あらためてどうす……いや、愚問だったか。 | ![]() | |
![]() | へっ、そういうことだ! 行こうぜ! 喧嘩神輿でカタバの野郎をぶっ飛ばしによ! | |
了解……と言いたいが、ご利益ぽいんとはどうする。四十七柱を抜けた俺たちはもう……。 | ![]() | |
![]() | 大丈夫だ! オレに任せろ! | |
何か策があるのか? | ![]() | |
![]() | ……と、とにかく会場に行こうぜ! 策なら向こうで考え……話すからよ! | |
無茶苦茶だ……。 | ![]() | |
![]() | なんだよ、オレにとことん付き合ってくれるんだろ? 少しは信用しろって。な! | |
……頼むから問題だけは起こしてくれるなよ。 | ![]() | |
意気込むスオウは、頭を抱えるセイを連れて喧嘩神輿とうなめんとの会場に向かった。 | ||
![]() カタバ……テメェの好きには絶対させねえからな……! |
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